わが国の死亡原因第3位となる肺炎。その肺炎の9割以上が誤嚥性肺炎とされています。
そんな怖い誤嚥性肺炎とは…どんな病気?
▼誤嚥性肺炎とは?
図:どくらぼより抜粋
誤嚥性肺炎とは食物や水分が誤って気管内に入り、そこに菌が繁殖し炎症を起こした肺の状態のことをいいます。
誤嚥には
- 食事中の誤嚥
- 胃内要物の逆流
食事中のむせや咳込みなどにより食物が本体の食道ではなく誤って気管に入り込み肺が炎症を起こします。この食事中による誤嚥が一番多いです。
寝ている時など、消化されていない食物や胃液が逆流し気管内に入り込み肺に炎症を起こします。
▼症状
- 37.5度以上の発熱
- 粘稠痰(ねんちょうたん)…濃くてネバネバな痰
- 咳
- 息苦しさ
- 頻呼吸(呼吸回数が増える)
- 息切れが多くなった
- 精神症状の出現(原因不明なせん妄・傾眠傾向)
- 活動力の低下
- 食欲低下
- 倦怠感
上記のような典型的な症状が現れない場合もあり、発見が遅れる場合も…
高齢者の場合は、以下の症状出現時も注意してあげてください。

このような症状が現れた場合は早めに医療機関を受診してください。誤嚥性肺炎は早期発見・早期治療が大切です!
▼誤嚥の予防はどうしたらいい?
一度誤嚥性肺炎を発症すると再発を繰り返す傾向があり、日頃からの予防が大切になってきます。
1.食事形態や食事中の姿勢の工夫
①食事形態…高齢者の嚥下や噛む力に食事形態を合わせることで誤嚥の予防に繋がり、また食欲を引き出し、自力摂取のサーポートができます。
刻み食 | 食べやすいようい小さく刻んだ食事 | 軟菜食 | 舌でつぶせる硬さの食事 | ミキサー食 | ミキサーで液体状にした食事 | 嚥下食 | ペースト状やゼリー状にした食事 | 流動食 | 液体状のおかずや重湯→術後の患者さんが使用する場合が多い |
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介護食には5種類あり、それぞれ特徴が異なるので、高齢者の身体的機能に照らし合わせて食事形態を選んでいくことがとても大切になってきます。
※お茶などの水分はトロミ剤などの使用で調整してください。
②食事中の姿勢…できるだけベッド上ではなく、椅子に移り食事をすることが大切です。
足裏が床につき、前傾姿勢が理想です。
椅子に移ることが困難な場合でも、ベッド上でできるだけ椅子に近い姿勢を保持しましょう。
2.口腔内を清潔に保つ
虫歯や歯周病があると口腔内は、菌が繁殖しやすい状態になっています。その状態で食事を誤嚥してしまうと、菌も一緒に誤嚥し誤嚥性肺炎の発症につながります。
そのため、日ごろからの口腔内のケアは欠かせません。齲歯や歯周病がある方は治療を行い、歯磨きやうがいをこまめにして、口腔内の清潔の保持を意識しましょう。
3.口腔周辺の筋肉運動
口腔周辺の筋肉の運動を行うことで、食事に必要な筋肉が鍛えられ唾液分泌が促進されます。唾液がしっかり分泌されると、唾液が食事と混ざり飲み込みやすい形にしてくれる働きがあります。
そのことでむせたりすることなく、食事をスムーズに摂れるようになります。
口腔周辺の筋力を鍛える嚥下体操は下記のページを参照して行ってみて下さい。
日医工
誤嚥しても抵抗力や駆除力があれば、誤嚥性肺炎の発症や重症化を予防できます。そのため高齢者の方にとって免疫力を高めることはとても重要なこととなってきます。
その中で食事は免疫力を高める要素の一つです。
高齢になるにつれ低栄養状態に陥りやすいですが、日ごろからバランスの良い食事を心がけ、免疫力を高める食材を積極的に摂っていきましょう。
以下の食品を免疫力を高めるために積極的に摂取することをおすすめします。
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トマト | きのこ類 | 緑黄色野菜 | 発酵食品 | 大豆類 |
自宅で介護食を作るのは大変なことですが、少しの工夫で誤嚥性肺炎の予防に繋がります。介護食を作るのが大変な方には、介護食を専門とすると宅配食事サービスがあり、食事形態や栄養などについて無料相談もできます。
介護食の宅配や栄養面の相談を希望したい方は介護食の宅配食事おすすめランキングを参考にしてみて下さい。